【ベルリン】バウハウスの企画展に行ってきた

【ベルリン】バウハウスの企画展に行ってきた

「バウハウス」という言葉を聞いたことはありますか?

バウハウスとは、第一次世界大戦後にドイツで誕生した美術・造形の総合学校のことです。

アートやデザイン、あるいは建築に興味のある人は、聞いたことがあるかもしれません。

そんなバウハウス、実は2019年で設立100周年を迎え、アート界隈ではお祭り騒ぎ。

ドイツ国内の各地でも、バウハウスに関連した特別展やイベントが開催されています。

今回私が足を運んだのは、ベルリン・ギャラリーというミュージアム。

今月9月から始まった『Original Bauhaus(オリジナル・バウハウス)』という企画展です。

バウハウスとは

まずはバウハウスとはなんぞや?という方のために軽く解説。

バウハウス(ドイツ語: Bauhaus)は、1919年、ヴァイマル共和政期ドイツのヴァイマルに設立された、工芸・写真・デザインなどを含む美術と建築に関する総合的な教育を行った学校。また、その流れを汲む合理主義的・機能主義的な芸術を指すこともある。学校として存在し得たのは、ナチスにより1933年に閉校されるまでの14年間であるが、その活動は現代美術に大きな影響を与えた。(Wikipediaより引用)

日常で使う文房具のデザインから、大きなものになると建築に至るまで、
全ての「造形」に共通点を見出し、合理的な統一を試みたのがバウハウス。

違う表現をするならば、例えば”芸術”と”技術”の垣根を無くし、
相互的に吸収して取り込んでしまおう、みたいな考え方がバウハウスの理念です。

当時のバウハウスが世に生み出したものは、センセーショナルなものばかり。

学校そのものが機能していたのはわずか14年間しかないにも関わらず、
時代の最先端をいくバウハウスのデザインは、今日もなお影響力を及ぼしています

この写真は当時、講師として1年生の授業課程を担当していた画家パウル・クレーのメモ。

カリキュラムの構成アイデアを円のダイアグラムにまとめるってすごくない…?

このメモを見るだけでも「合理的に統一された造形システム」がひしひしと伝わってきます。



オリジナルバウスのオリジナルって何?

今回の企画展のタイトルは『Original Bauhaus(オリジナル・バウハウス)』

この展示を通して、そもそもオリジナルって何?コピーは?リメイクはいいの?
といった疑問に答えを出そうとする試みです。

展示の内容はバウハウスのコンセプトから誕生までの軌跡、
そして当時のバウハウスがどんなものを残したのか、各分野に分かれて紹介されていました。

展示品の多くは、現在改装中のバウハウス・アーカイブ(ベルリン)のものをメインに、
世界のコレクションから借りたものがチラホラ。

いわば展示されているものがオリジナル?

当時生み出された斬新な作品は、100年経った後世にも受け継がれ、
お手本にされたり、オマージュされたり、はたまたリメイクされたり…。

そうやって代々アイデアが引き継がれていくことで、
もともとの作品を「オリジナル」たらしめるわけです。

でも、その「オリジナル」ってひとつなのかな?

オンリーワンな確固たる形を持ってると思いきや、
例えば手作りのお茶碗をいくつか作ったら、ひとつひとつ個体差があるから違う。

それはモノだけに限らず、舞台の演目ひとつとってもそうです。

とある監督の作品が、初演の頃は知名度もなかったけれど、
回を重ねるごとに衣装が増え、曲目が増え、映像としても記録され…
といった具合で少しずつ変化していった場合、どこからがどこまでがオリジナル?

この展示では、ものづくりにおける一点物とシリーズ化されたもの、
あるいはオリジナルとリメイクの関係に迫ります

そしてこれらが相互的に作用しあい、今日のバウハウス像を作り上げているのです。

興味深かった展示

ここからは個人的に気になった展示をピックアップ。

まずはオスカー・シュレンマーのtriadisches Ballett(トリアディッシェス・バレエ)。

日本語では『三つ組みのバレエ』というみたいです。

オスカー・シュレンマーは画家であったと同時にダンサーでもあり、
バウハウスでも教鞭をとっていました。

このトリアディッシェス・バレエは名前の通り、数字の「3」にこだわった作品で、
衣装の形や色、音楽の数や場の構成、そして振り付けに至るまで「3」に関連づけられています

もちろん登場するキャストも3人のみ。

このシンプルで機械的な作品が「バレエ」の概念を覆し、
独創的な舞台芸術空間を実現させました

ちなみに、かの有名な歌手レディーガガも、
このトリアディッシェス・バレエにインスピレーションを受けて制作したPVがあるんだとか…!

オマケ情報ですが、画家としてのオスカー・シュレンマーの作品
『Bauhaustreppe』も別ブースにあったので、好きな人は必見。

次は産業の機械化を試みるゾーンです。

注目ポイントはマリアンヌ・ブラントのティーポット(正確にはティーインフューザー)。

機械でも生産可能な、シンプルかつ機能的な産業デザインを目指して作られました

このティーインフューザーはその点で理想的なプロトタイプだったそうですが、
実際にこれが実用化され、大量生産されることはなかったそう。

現存しているプロトタイプは世界に8点しかなく、
そのうち7点はこのショーケースに集められ、残りの1点はデッサウにあるそうです。

ちなみにこっちの電気ケトルはペーター・ベーレンスのデザイン。

機械で作ったのに、まるで職人の手で仕上げたような表面の美しさ!

てかオシャレすぎる。これが100年前に作られたなんて信じられない…。

次のブースは、陶磁器の機械産業化です。

当時の狙いは、
「個体差のない、美しくかつ実用的で、手作業よりもコスパがいいものを作る」だったそう。

展示の中には失敗作もあって、実際に手で触れたりもできました。

最後にちょっとワクワクしたのは、ダダイズムとの関係が紹介されているブース。

バウハウスとダダイズムが深く関わっていることは今まで知らなかったので、
個人的にかなり興味深い展示でした。

1932年には、なんとバウハウスのデッサウ校でダダイズムの展覧会も予定されていたんだとか。

でも開催の直前にナチスによってバウハウスが閉校に追い込まれ、
その展覧会は実現されませんでした。

その他の気になった展示

さて、ここまで小難しいことをつらつら書いてきましたが、
純粋におー!すごい!ってなる展示もあったので、それを少し紹介したいと思います。

これは色と形の組み合わせを探っているであろうスケッチ。

他にも、タイプライターのデザイン案がいくつか下書きで残っていたり、
なんだか美大に紛れ込んだみたいで楽しいゾーンでした。

他の展示エリアには、日本で最初にバウハウスに留学した人の作品も発見。

これを製作したのは、水谷武彦さんという方だそう。

そもそも日本人でバウハウスに留学した人がいたのを知りませんでした…。

最後は体験ゾーン。

センサーで身体の動きに反応する仕組みなのかな。

液晶をタッチして自分だけのオリジナルの模様をデザインしてみたり、
ジェスチャーで点をつないで絵を描いてみたり、みんな自由に楽しんでいました。

まとめ

今日はベルリン・ギャラリー(Berlinische Galerie)で開催されている、
バウハウスの企画展についてレポートしました。

この記事では私が印象に残ったコーナーを抜粋して紹介しましたが、
展示自体は他にもいろいろあって盛りだくさんです。

この企画展は来年2020年1月27日までやっているので、
興味がある人はぜひ足を運んでみてくださいね。

ちなみにベルリン・ギャラリーのミュージアムショップには、
バウハウス100周年記念グッズがほとんどないので、そこだけ注意かもしれません。